『スティッキーフィンガーズ』

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2012年1月29日日曜日

『革ジャン考察』


僕は特に革ジャンが好きというわけではないのですが、気がついたら最近結構のめり込んでおりました。

そもそも僕が革ジャンに最初に興味を抱いたのは、中学ぐらいのときですかね。

パンクロックを知ったばかりの僕にとって、パンクロッカー達の着ていた黒い革のライダースジャケットは、まさに反抗のシンボルというか、不良っぽくて、攻撃的で、とにかく強烈に惹きつけられました。

ダブルの、襟のついた、ジッパーの目立つやつです。

今でこそそれがルイスレザーに代表されるいわゆる「ロンジャン」と呼ばれるものだということは当然の事実として知られておりますが、今から20年以上前の当時はそこまでパンクファッションというのは一般的ではなく、まだそれぞれが手探りで真似をしていたような状態だったので、とにかく黒くてダブルでジッパーで閉まるようになっていたら、もう、「ライダースジャケット」だったのです。

当時、一番それに近かったのが、ショット社の618というモデルでした。

ワンスターと言われる613の星のないやつです。

ワンスターは実際ラモーンズのメンバーがデビューからずっと着用しているモデルで、そのシンボルアイコンとして永遠の定番になってはいるのですが、当時の僕にはワンスターもクラッシュのメンバーが着用していたルイスレザーも同じで、区別なんてつきませんでした。

正直に告白すると、本当、ここ数年です。ルイスレザーなんて知ったの。数年前から何故か流行って、そのブランド名を耳にするようになり、「あ、そうだったのか」と。

よく見ると違うな、と(笑)

で、実際比べてみると、全然違うんですね。

まず、ショット社に代表される「アメジャン」と呼ばれるモデルは、着丈が短く、身幅もややゆったり目で、ウエストに大きなバックルのついたベルトがついている。

ルイスレザー社に代表される「ロンジャン」と呼ばれるモデルにはウェストバックルはなく、着丈も長めでシェイプも全体的にタイト。

なるほど、ルイスの方が今っぽく、スタイリッシュに着こなせます。

その違いは何なのかなーと、ぼんやりと日々、僕なりに考えていたら、ある結論に達しました。

まず、「ライダースジャケット」とはバイクに乗るために作られたレザージャケットであること。

これはバイクに乗っていると良く分かるのですが、まず、風の進入を防ぐためにダブルの合わせを頑丈なジップで完全に閉じる。そして袖口もジップによってよりタイトにフィットさせ、何より転倒した際に体へのダメージを最小限にとどめられるよう、全体を頑丈な革で仕上げる。

それぞれに意味があって、必然性と機能性を考慮してできあがったデザインなのですね。

そうやって生み出されるデザインというのは、ジャンルに関わらず根源的な美しさのようなものを秘めており、なるほど、ライダースジャケットがかっこいいという理由が良く分かりました。

より安全に快適にバイクに乗れるように開発されたジャケットが「ライダースジャケット」なのです。

これは全てのライダースジャケットに共通する大まかな特徴ですが、では、アメジャンとロンジャンのデザインの違いはどこから来るのか。



これはもうひと考え必要でした。



それは…、



乗るバイクの違いです!



これをいちから説明するにはバイクの話になってしまってこれまた長くなりそうなので別の機会に譲るとして、ここでは簡単に、バイクにもアメリカンとブリティッシュとの違いがあることを説明しようと思います。。



まず、ハーレーダビッドソンに象徴されるアメリカンバイクは、当然アメリカの広大な大地を走るために開発され発達していったバイクです。そしてそれに乗るために作られたのがアメリカンライダースジャケットなのです。

アメリカの広くてまっすぐな道を何マイルも走り続けるわけですから、当然排気量は大型化し、疲れないようにポジションは直立、足の位置も前輪に近い前方の位置で、椅子に座っているような格好で乗車します。

なので、ジャケットの着丈は短く、そんなに高速で飛ばすわけでもないので着心地も若干ゆったりとした快適性を優先したスタイル。

反対に、トライアンフ、BSAなどに代表されるブリティッシュバイクは、イギリス、とくにロンドンなどのじめじめした市街地を走ることを前提に開発されており、さらに当時のタンナップボーイズと呼ばれたロッカーズという若者達はそれらのバイクで最速を目指してハンドル位置を低く、それに合わせてステップは後方に、さらに狭い街をぎりぎりですり抜けるため車幅はできる限り狭く、といった風にそれらのバイクをカスタマイズしていったのです。

カフェレーサースタイルの誕生でした。

そういったカフェレーサー達の要望にフィットするように作られたのがいわゆるロンジャンなのですね。

突き詰めていくと本当に目から鱗が落ちるというか感心させられるのですが、まず着丈が長いのは前傾姿勢で腰が出ないため、そしてベルトバックルが省略されているのは金具がバイクのタンクを傷つけないようにするため。そして各部に配されたポケットもそういった姿勢で使いやすいように、また、グローブをつけたままでも開閉しやすいようにボールとチェーンで作られたジッパー、さらに象徴的な左腕に配されたチケットポケットはハイウェイチケットを右手で素早く収納できるようにするため…。

等々、挙げだしたらキリがないのですが、決して装飾性だけの理由ではなく、実用性から生まれた機能的なデザインの結果なのですね。

そういう意味では、どちらかというと土地柄も街の作りも近いイギリスタイプの方が日本人のライフスタイルにも近いような気がするので、現在タイトですっきりとしたルイスレザーがスタイリッシュで人気があるのも頷けるのですが、ショットなどのアメジャンはアメジャンで、そのスタイルの生まれた背景がしっかりと存在し、それを理解すると、また一見野暮ったく見えるそのスタイルにも格好良さを見いだせるのかも知れません。



そもそもがライダースジャケットとはアメリカで発祥し、50年代当時マーロンブランドが出演した映画「乱暴者」で着用していたのがショットタイプのアメリカンジャケットで、イギリスの反抗的な若者達はそれに共鳴し、同じタイプのジャケットを欲しがり、その声に応えたモデルとなったのがルイスレザー初のライダースレザージャケット「スーパーブロンクス」(現在出品中!)で、後のライトニングやサイクロンといった人気モデルは、その後、60年代~70年代に上述のように発展していった結果のスタイルとなったわけで、もともとはアメジャンタイプこそがライダースジャケットの元祖と言えるのですね。

また、音楽に関してもロッカーズ達はそのスタイルと同じく50'sアメリカンロックンロールを愛し、夜な夜なカフェでツイストアンドシェイクをしながら女の子をナンパしては超高速公道レースに明け暮れていたわけですが、時代も進んでいくと、それらのスタイルを古くさいものと否定し、グリースべたべたのリーゼントとは対照的にマッシュルームの短髪で派手にデコレートしたベスパやランブレッタなどのスクーターを駆る「モッズ」と呼ばれる若者達が台頭し、その後全面抗争へと発展していき、ロッカーズ達が愛したロックンロールやそのスタイルは廃れ、その代わりとしてビートルズやローリングストーンズ、ザ・フーといった新しい世代が全世界を席巻していくこととなりました。


ビートルズなども初期はロッカーズ達のように頭をグリースで固め、革ジャンを着込んだ英国式ロックンロールスタイルバリバリだったのですが、彼らを世界へと知らしめた希代のプロデューサー、ブライアンエプスタインが、当時新しくムーブメントとなりつつあった前述のようなモッズスタイルを彼らに取り入れ、そして世界中の誰もが知ることとなったマッシュルームにぴったりフィットのスーツスタイルが生まれることとなったのは実は一般的にはあんまり知られていないのかも知れませんね。

その後、さらにそれら全部を否定するようにパンクロックとそのファッションが生まれるのですが、その時に再度取り上げられたのが、ライダースジャケットなのです。

その反逆する姿勢の象徴として。

それらをバックボーンにして近年の日本でのパンクムーブメントが生まれ、現代に至っているわけで、まあ、確かにロンジャンが主流の現在ですが、僕は、ショットなどのアメジャンも、同じぐらい、もしくはそれ以上、愛しているのです。(ビンテージショットも出品中!!!)



そもそもパンクロックの発祥は70年代初頭のニューヨークドールズやラモーンズ、パティスミス、ストゥージーズと言われ、今度はマルコムマクラーレンというブライアンエプスタインに匹敵する仕掛け人により、これまたイギリスに輸入される形で独自のスタイルに仕上げられたので、その元祖であるラモーンズが着用していた60年代70年代のショットワンスターこそが究極のパンクロックライダースである!(しつこいようですが出品中です!!!)と、今のロンジャン全盛の世の中に声を大にして主張したいわけですが、まあ、そんなことはどうでもいいでしょう。



以上、長くなりましたが要は僕の出品物をお願いしますということです(笑)



この勢いで、今後、僕の所有する2台のバイク(不動)を含め、バイクについてもまた語らせてもらおうと思いますので、お時間のある方は何卒またおつきあいの程よろしくお願い申し上げますm(__)m



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